ヴァシュロン・コンスタンタンはなぜ高いのか?



名門中の名門として語られる時計メゾン・ヴァシュロンコンスタンタン。パテックフィリップ、オーデマピゲとともに世界三大時計ブランドに名を連ねています。加えて創業から267年と、創業以来一度も途切れることなく続いてきた時計メーカーとしては、世界最古とされます。
ヴァシュロンコンスタンタンの人気の理由は、やはり「最も歴史ある高級腕時計ブランド」である点です。時計ブランドのなかにはマニュファクチュールブランドとして古くから存在するところもありますが、経営が苦しくなって一時的に時計製造を中止したり、経営権を譲渡したりしたところも多くあります。しかし、ヴァシュロン・コンスタンタンはずっと自社経営で時計を製造してきており、時計愛好家から一目置かれる存在です。

 

ヴァシュロンコンスタンタンの時計製造の実力

ヴァシュロンコンスタンタンの製品は至高と評価されます。なぜか。
それは外装・ムーブメントともに非常に凝った、最上級レベルの品質が実現されているからです。「良い時計」の定義は様々です。
しかしながらヴァシュロンコンスタンタンのような、中古であっても100万円超えが当たり前といったような時計には、まず何より外装技術が求められるのではないでしょうか。
その点ではヴァシュロンコンスタンタン製品はまず間違いなく「至高」です。
惚れ惚れするような仕上げが施されていることはもちろん、ケースの表面は平滑で、歪みは見受けられません。これは、パトリモニーやトラディショナルといったベーシックなコレクションのフォルムでこそ顕著です。よく言われることですが、こういったシンプルな時計の方が装飾でのごまかしが効かない分、高い作り込みが求められます。

文字盤もまた平滑で歪みがなく、非常に美しい出来栄えです。針やインデックスの厚みは十二分で、立体感も申し分なし。



また、ムーブメントに関してもやはり「至高」です。
「良いムーブメント」も色々な考え方がありますが、やはり高級品であるからには妥協のない仕上げ・装飾を求めたいところです。
その点ヴァシュロンコンスタンタンは最高峰。丁寧な仕上げや面取りはもちろんのこと、ペルラージュやコート・ド・ジュネーブといった伝統装飾が美しく施されており、このようなムーブメントへのこだわりに愛好家は所有欲を刺激されるものです。
ジュネーブ・シールの存在もヴァシュロンコンスタンタンのムーブメントを語るうえで欠かせません。


ジュネーブ・シールとは、時計に関する工業規格です。
時計の規格はクロノメーター始め色々と存在しますが、ジュネーブシールは中でも最高峰の呼び声高く、きわめて厳格。スイス ジュネーブ州で組み立てられたムーブメントであることを前提に、精度やパーツの仕上げや素材等を多岐に渡って審査します。取得しているブランドはパテックフィリップ(2009年より自社独自規格へ)やショパール,ロジェデュブイといった時計製造に定評のある名門ばかりです。

 

 

永久修理

ヴァシュロンコンスタンタンは、時計業界でもそう多くはない「永久修理」を掲げていいます。
永久修理は文字通り、創業から今に至るまで販売した自社製品の修理を、今後も永続的に請け負う、というサービスです。この永久修理を採用するブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ等、名門中の名門に限られます。
通常、メーカーには「パーツ保有期間」が存在し、この期間を過ぎた製品の修理を受け付けないということは珍しくありません。
しかしヴァシュロンコンスタンタンではこの期間を設けておりません。すなわち現在購入した商品を、ご自身はもちろん子どもや孫へと受け継いだ後も、メンテナンスしながら代々受け継いでいけるということです。

なお、ヴァシュロンコンスタンタンでは現行モデル以外のヴィンテージやビスポーク品は、専用の工房でメンテナンスを請け負うとのこと。
安心して「一生もの」として使っていけますね。

 

ヴァシュロンコンスタンタンの代表シリーズ①オーヴァーシーズ


スポーツラインのオーヴァーシーズ。1996年に誕生しました。エレガンス・クラシックの多いヴァシュロンコンスタンタンの中では、唯一スポーティーデザインなシリーズとなります。

前項でも言及していますが、近年雲上ブランドが手掛けるスポーツウォッチは「ラグジュアリー・スポーツウォッチ」「ラグスポ」と称され、一大ジャンルとしての地位を確立しています。
1970年代~1990年代に高級スポーツウォッチという分野が時計業界に生まれ、飛躍的に伸びました。そんな中でヴァシュロンコンスタンタンもまたスポーツラインを打ち出していくのですが、そこは歴史的ブランド。ちょっと他社とは一線を画します。
オーヴァーシーズは、同社ならではの伝統と高い設計力をふんだんに発揮しつつも、強烈な個性をも有するのです。

最もその個性が顕著に表れているのがデザイン。オーヴァーシーズは「マルタ十字をアレンジしたベゼルおよびブレスレット」を持っていることが何よりの特徴です。
なお、オーヴァーシーズはスポーティーすぎるエッジの効いた外装をしていますが、実はケースは優美なラインを描いており、ラグがブレスレットとシームレスになっていることで、流れるような曲線美を堪能できます。非常に薄型で、しっかり「ラグジュアリー・スポーツ」の王道にのっとっています。

 

ヴァシュロンコンスタンタンの代表シリーズ②パトリモニー


ドレスラインのパトリモニーもヴァシュロンコンスタンタンを代表するコレクションで、「最高のドレスウォッチ」と名高い代物です。
パテックフィリップのカラトラバやランゲ&ゾーネのサクソニア、ブレゲのクラシックなど、至高のドレスウォッチは世の中にたくさん存在しますが、パトリモニーもまた「無駄のない美しさ、調和のとれたプロポーション」「伝統を力強く受け継いだ正統派」と言われています。
パトリモニーが特別な存在感を放っているのは、非常に「クラシカル」を大切にしているから。

近年の復刻モデルにおいて、完全に当時のデザインを再現したものはそう多くはありません。パトリモニーもまた、40mm前後とケースを現代に合わせて大径化しています。

しかしながら、伝統的なドレスウォッチに必須である「薄型」にあくまでこだわっており、ベーシックな自動巻き3針モデルであればケース厚は8.6mm弱。複雑機構搭載機であっても、9mm以下に収まります。ちなみに手巻きモデルに至っては、7.65mmとのこと。

控えめながら美しく仕上げられたケースや針、インデックスは、大人の男性におすすめの一本です。

 

ヴァシュロンコンスタンタンの代表シリーズ③フィフティーシックス


フィフティーシックスは2018年に登場した、ヴァシュロンコンスタンタンにとって新しいシリーズです。オーヴァーシーズのようなスポーティーさはなく、かといってパトリモニーのようなクラシカルテイストともまた違った独創的な顔立ちに、目を奪われるはず。
1956年に発表されたRef.6073にモチーフにしたデザイン。

Ref.6073が製造された1950年代は「機械式時計の黄金時代」。
各社が精度はもちろん、デザイン性においても類まれな才能を発揮していた時期であり、そんな中で生まれたRef.6073の洒脱さは、今もなお色褪せません。
なお、フィフティーシックスは実用性を重視したラインであり、全てのモデルで自動巻きが採用されています。
また、ベーシックな3針モデルはリシュモンキャリバーとなる1904 MCムーブメントがベースとなっているため信頼性は抜群。